2004年「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産に登録された高野山。平安時代のはじめに弘法大師空海が開山して以来1200年以上の歴史を持つ。本作品は水墨画のような極寒の冬から色彩豊かな秋までを、一年を通じて高野山の四季を収録。
　雪が積もった壇上伽藍の根本大塔には胎蔵大日如来を中心に立体曼荼羅を表し、愛染堂では密教独特の護摩供が行われ人々の祈りが炎と煙となり立ち昇る。早朝、奥之院では入定後の弘法大師のために御膳を届ける生身供が毎日続けられている。
　春には山内を彩る満開の桜が随所に見られ、金剛峯寺のたもとでは八重しだれ桜が訪れる人々を優しく迎え入れる。金堂では厳格な法会『庭儀大曼荼羅供』が執り行われる。
　夏のお盆の頃には切子灯籠が祖先の霊を迎え、『不断経』の独特な節を付けた経が山内に響き渡る。
　秋の紅葉の時期には高野山全体が色づき、青空を背景に見事な景色を作り出す。澄んだ空気に包まれた紅葉と古刹のコントラストが人々を魅了する。